冬の雪と戦う北国のドライバーたち。
北海道と冬の雪。スキーやスノボ好きな人にはうれしい雪も、車を運転する人にはとてもやっかいな存在です。そう強く感じるのが、大雪が降った朝。たとえば一晩で50㎝以上積ったとしたら、完全にアウチ!まわりを見渡しても、全部白いカタツムリみたいになっちゃって、どれが自分の車かわかりません。ときには、それが車かどうか判別できない場合だってあるのですから悩ましいものです。
それと駐車場がロードヒーティングでも雪はすぐに解けるわけではないので、出勤前の忙しい時間に雪かきの強制労働が待ち受けています。運動なんてしたくもないのに、筋肉痛で腕がブルブルになるまで雪かきをして、ようやく車の姿が見えたかなと思ったらそれが隣の車だったら、全身に脱・力・感。また除雪が終わったからといって、車がすんなり駐車場から出られるとは限りません。雪にタイヤをとられ、滑って出られないことなど日常茶飯事。そうなるともう泣きたくなるわ、会社に遅刻して怒られるわで、1日中気分はブルーです。また裏道など走っていて、深い轍(わだち)から抜け出そうとしてハンドルを取られると、雪山に突っ込むことだってあります。そこで今回はもしそうなってしまったときにも困らない、上手な対処法を紹介しましょう。
雪に埋まったときほど、焦りは禁物。
「やばい!車が雪で埋まった~、どうしょう!?」。なんてことも冬の北海道ではよく起こること。でもそうなったとしても、決して慌ててはいけません。焦ってアクセルを思いきり何度も踏むと、タイヤがさらに深く掘れてしまい、余計に脱出しにくくなるからです。そこで初めにするべきことは、タイヤの周りやボディの下にある雪をスコップできれいにかき出すこと。それでも滑って出られないようなら、スノーヘルパーや毛布に登場してもらいましょう。このときに注意したいのはFFなら前輪、FRなら後輪と、駆動するタイヤにかませること。これを間違えるとなんにもなりません。準備ができたらアクセルを踏みこみますが、タイヤは動き始めた瞬間にいちばんグリップがかかります。ですから、慎重にゆっくりアクセルを踏みながら脱出を試みましょう。
このとき同乗者や周りに人がいたら、後ろから押してもらうと脱出確率が一段とアップします。もしそれでもダメだった場合、方法は2つしかありません。ひとつは、近くの車(とくに4WDなど駆動力のある車)に牽引してもらうこと。もうひとつはJAF などのロードサービスに助けを求めることです。いずれにしても雪上で立ち往生してしまうのは、周りのドライバーにも迷惑をかけてしまいますから、埋まったときのことをつねに想定して、事前にしっかり必需品を揃えておきたいものです。
忘れちゃイヤです、雪道対策グッズ。
次に、真冬に積んでいて良かったと思う雪道対策グッズを挙げておきます。№1 はやはりスノーヘルパーです。これがなければ話になりません。雪かき用のスコップも必須アイテムですが、プラスチック製だと固い雪は削れないので鉄製の物がおすすめ。牽引ロープもあるとかなり重宝します。それと毛布や大きな厚い布もタイヤの下に敷けるので、いざというときに便利。新聞紙や滑り止め用の砂も多めに積んでおいたほうがいいでしょう。そのほかに長靴、解氷スプレー、懐中電灯、厚手のゴム手袋、バッテリーが上がったときのためにブースターケーブルも用意しておくといいですね。
また車載工具のジャッキが意外なほど役に立つのをご存じでしょうか。雪に埋まったときは、駆動輪のどれか1本のタイヤが空転していることが多いものです。そこでタイヤを安全にジャッキアップすれば、浮いたタイヤの下にヘルパーや毛布、板などが挟み込みやすくなります。ジャッキアップは手間がかかりますが、雪が降りしきる中で1時間も2時間もロードサービスが来てくれるのを待つよりはるかに得策です。それと、雪に埋まって立ち往生したときは、長時間エンジンをかけっぱなしがちなものです。雪に埋まって脱出できない上にガス欠になんてならないよう、ガソリンの補充は早め早めにしておくことも忘れないでくださいね。