たまには考えてみよう、パンクのこと。
クルマに付き物のトラブル、それがタイヤのパンクですね。近年はタイヤ性能がアップしていることや道路整備が進んだおかげで、かなり少なくなりつつあります。とはいっても、ロードサービスのJAFによれば全トラブルの約1割がパンクによる出動だといいます。なかでも高速道路では、一般道路の3倍の数に上るとか。パンク自体はわりと身近な現象ですが、実際に起こってしまうとかなり慌てます。それが高速道路であればなおさら。急激にハンドルを取られて縁石に乗り上げでもしたら、大事故につながる可能性があるので、とくに経験したことのない人ならオロオロとうろたえるかもしれません。
ところでタイヤがパンクするのは、道路上の釘やネジなどの異物が刺さるとか、縁石などで強くこすってタイヤの側面が破けることが原因です。パンクには、ゆっくり空気が抜けていくスローパンクと、タイヤが破裂して一気に空気が抜けるバーストの2種類があります。ちなみにバーストを起こしてしまうと修復不可能になることが多いのをおぼえておきましょう。
走行中にパンクをしてしまったら?
次に、実際にパンクしたときはどう対処したらいいかをお話しします。運転中にパンクをすると、べったんべったんと引きずるような異音がしたり、急にハンドルが重くなって片方向に取られたりして、明らかに変な感じがします。パンクすると空気が抜けてタイヤがヘコみますが、それと同時に気持ちもヘコみますね。でもそこは気持ちを切り替え、決して慌てず、交通の妨げにならない安全な場所(路肩や空き地など)にクルマを停めてタイヤを確認することです。その際、後続車に停止中とわかるように非常点滅表示灯(ハザードランプ)を点滅させること。必要に応じて停止表示板(または停止表示灯)や発炎筒を使って、停車していることを周りに知らせましょう。また自分で応急修理ができるようであれば作業に取りかかりますが、もしそれが高速道路上であれば作業をするのは大変危険です。クルマから離れないようにして、ロードサービスなどに助けを求めましょう。また運悪く、踏切でパンクしてしまったときはすみやかに踏切外にクルマを移動させます。仮に脱輪して動けなくなったとしたら、踏切の非常ボタンを押し、発炎筒で合図するといった対処が必要です。それもおぼえておくといいでしょう。
タイヤには日頃の点検と関心を。
タイヤがパンクしてしまったときの応急処置の方法は主に2通りあります。タイヤの状態や交通の状況にもよりますが、ひとつはトランクなどに収納してあるテンパータイヤ(スペアタイヤ)に交換する方法です。もっとも一般的ですが、やり方はタイヤ交換と同じ要領なので、それほどむずかしくはありません。まだやったことのない人は、チャレンジしてみてはどうでしょう。なにごとも経験ですから。ただしテンパータイヤはあくまでも補助タイヤだということをお忘れなく。交換後はそのまま乗り続けたりせず、修理してくれる場所へすみやかに移動するようにしてください。
もう一つの方法はタイヤを交換しないで、自分でタイヤを補修するやり方です。補修用のゴムプラグをパンク部分に詰め込んで穴を防ぐ方法ですが、応急用補修キットはカーショップなどで手に入れることができます。ただしこのやり方は、タイヤに釘やネジなどが刺さった小さな穴が原因でパンクした場合に限ります。これもあくまでも応急処置ですから、できれば早めにプロのスタッフがいるお店で修理してもらうことをおすすめします。
パンクはそれほどひんぱんに起こるものではありません。でもその確率をさらに下げるには、やはり日頃の点検がなにより大事です。たとえばタイヤのひび割れ、キズ、溝の深さ、空気圧、偏摩耗(タイヤの一部だけがかたよって減ること)などは誰でもわかりますね。タイヤは古くなるとひび割れしやすくなりますし、距離をたくさん走ればそれだけ溝も減り、バーストする可能性が高くなります。また空気が抜け気味であったり、4本のうちのどれか1~2本が偏って減っていたりしたら、それだけタイヤに余計な負担がかかってしまいます。それを防ぐためにも、いつも適正な空気圧を維持することと、タイヤのローテーションもときには必要です。いずれにしても、タイヤは人の命をあずかる大切なパーツ。いつも、その状態に関心を持つクセをつけてくださいね。