意外に知らない素朴な疑問。
ちょっとお聞きしたいのですが、みなさんはタイヤの色に疑問に持ったことはないですか。そもそもクルマにはいろんなボディカラーがありますね。それに最近は、ミラー部分だけちょっとカラーを変えているとか、ルーフ部分だけ色が違ったり一部分がストライプとか市松模様だったりする、おしゃれなクルマを目にすることがあります。あれ、デザイン的にもかっこいいですよね。だったらタイヤだってボディカラーに合わせて青とか、赤とか、白なんてあってもいいと思うのですがどうでしょう。そう、たとえば自転車。ひと頃はほぼすべての自転車は黒いタイヤでした。それでもなんとも思わなかったですよね。だって、黒が当たり前だったんだから。でも最近はカラフルなタイヤを履いた、ロードバイクとかクロスバイクなんて呼ばれるスポーツタイプの自転車をチラホラ見かけます。そこで今回は、クルマのタイヤがなぜ黒しかないのかを調べてみました。
昔、白いタイヤがあったこと知ってました?
某タイヤメーカーによれば、クルマでもバイクでも黒以外のカラータイヤはつくることができるそうです。ついでにいうと、一時期はカラータイヤも販売されていたんですって。ではなぜ、現在は黒いタイヤだけしか製造していないかといえば、それはタイヤ自体の耐久力が関係しているからだとか。なんでも、カラータイヤは黒いタイヤに比べて耐久性能が劣るといいます。つまり、安全運転には不向きというわけ。あれ?それじゃあ、近頃よく見かけるカラータイヤの自転車も、そんなに安全じゃないよとグサッと宣告されたようなもの。余談ですが、私の自転車は2台ともカラータイヤです。いま知らなくてもいい事実まで知ってしまいました。残念っ!まあ、どうでもいい話ですが。話をクルマに戻すと、カラータイヤが販売されていたときは、白いタイヤがかなり多かったそうです。それも合わせて、豆知識として覚えていてもらえるとうれしいです。たぶん役に立たないでしょうけど……。
タイヤの黒は、カーボンの色が関係している。
さて本題に入りましょう。タイヤの色が黒い理由は、材料と構造が関係しています。というのも、タイヤの主材料はゴムですが、それ以外に10種類以上の構造材や配合剤が含まれています。その中でも重要な配合剤のひとつがカーボンブラックです。これは炭素の微粒子で、ゴムの強度や硬さ、耐摩耗性などを向上させる性質を持っています。またゴムとなじみやすい特性もあります。もしゴムだけでタイヤを作ったとしたら、タイヤ自体の強度が大幅に不足してしまって、安定走行をすることができません。そこでタイヤ自体の強度や耐久性をアップさせるためにカーボンブラックをタイヤに混ぜるのです。カーボンブラックは炭素を粉状にしたものなので、その名前の通り真っ黒。この真っ黒クロスケの色がそのままタイヤに反映されるため、黒いタイヤが出来上がるというわけです。もし将来、カーボンブラック以外のすぐれた素材が開発されれば、タイヤの色はもっと自由になるでしょうが、いまのところ見つかっていません。仮に新素材が緑だったらタイヤも緑になるでしょうし、紫だったら紫のタイヤになります。もしタイヤがピンクだったらボディカラーもそれに合わせてピンクかぁ。それはちょっとイヤかも……。
人もクルマも見た目が大事ってことで。
タイヤの色はカーボンの色が影響していることがおわかりいただけたと思いますが、それ以外にも黒にしている理由があります。それは見た目の問題。え、そんなこと?と思うかもしれませんが、じつはこれ、とても大事なんです。まだタイヤの素材にカーボンを使用していない時期には、白いタイヤが主流だったと書きましたが、白とか赤といったカラフルなタイヤだと、走った後の汚れが目立ちやすいからです。その点黒いタイヤなら、それほど汚れが目立ちません。たとえば雨の日に白いスカートとかホワイトジーンズを穿いていたら、泥はねが目立ちますよね。それに白いシャツを着ているときにカレーうどんやミートソースを食べると、確実にはねてしまうでしょ。あれと同じ理屈です。また、黒いタイヤはピカピカに磨いておくととっても速そうに見えるという心理作用もあるみたいです。ちなみに洗車後、タイヤにワックススプレーをかけておくととてもかっこよく見えますもんね。そういえば何年か前にベストセラーになった「人は見た目が9割」とかいう本がありましたっけ。もしかしたら、クルマにも同じことが言えるかもしれませんね。