いくら便利でも、運転中はNGです
近頃、地下鉄をはじめとする公共の乗り物や場所、あるいはカフェをはじめとした飲食店などで、スマートフォンや携帯電話をいじっているたくさんの人を目にします。通話だけではなく、インターネットやメール、ゲーム、カメラなど、たくさんの便利な機能を兼ね備えているので、もはや私たちの日常生活と切っても切り離せない存在になってきたということでしょう。でもこれが歩きながらピコピコ操作する、いわゆる「ながらスマホ」であれば話は別。スマホに気を取られて前を見ていないため、あっちでゴツン、こっちでゴツンとぶつかるので、危ないしとても迷惑に感じます。それでも歩行中の使用ならまだ許せるけれど、クルマを運転中の「ながらスマホ」は絶対にダメ!「前を向いているから平気平気」とか「ちょっと画面を見るぐらいなら大丈夫でしょ」などと考えていたら、大きな事故につながりかねません。そうはいっても運転中の「ながらスマホ」が後を絶たないのは、ほんとうに困った問題です。
「ながらスマホ」は事故に遭う危険性が倍増
警察庁のデータによれば、交通事故全体の件数は減少しているそうですが、「ながらスマホ」による交通事故は逆に増加傾向にあるといいます。ちなみに平成30年中のスマホや携帯電話等を使用したことが原因で起こった交通事故件数は2,790件もあり、過去5年間で約1.4倍にもなるとか。また死亡事故率を比較すると、スマホや携帯電話等を使用した場合は使用していない場合と比べて死亡率が約2.1倍にもなるそうです。ほんとに恐い数字ですね。また事故原因も、運転中に目を離して画面を見るとか操作すること以外に、スマホ等を取るとか、置こうとする動作でも起こりやすくなるそうですから、スマホを使う要件があるときは安全な場所にクルマを停め、危険をできるだけ回避することを習慣づけたいものです。
一番危ないのは、注意力をそがれること
各種の研究報告によれば、スマホの画面を見ているドライバーが危険を感じるまでの時間は2秒以上だそうです。これは時速40kmで走っていたら約22.2m進み、それが時速60㎞なら約33.3m進む計算。どうです、かなりの距離でしょう?もしその間に道路脇から人が飛び出してきたら手遅れになるかもしれないし、赤信号や障害物に気づかないとか、停止していた前の車に追突してしまうなど、事故を起こす可能性は十分過ぎるほど。
「ちょっとの操作だから問題ないでしょ」とか、「ハンズフリーだから電話なら大丈夫だよね」と思っている人がいるかもしれません。でもスマホの文字や画面、相手との話に集中してしまうと、どうしても人の注意力はそがれてしまうもの。自分だけは大丈夫だと過信せず、運転中の「ながらスマホ」がとても危険な行為だということを心に刻んで、絶対にやめるように努めましょう。
違反者に与えられる厳しい現実
いまの社会背景を受けて、2019年の道交法改正では運転中の「ながらスマホ」に対してかなり厳しい罰則規定が設けられました。これは具体的な「禁止行為の線引き」が変わったということではなく、「禁止行為を行った場合に与えられる罰則」が変更になったということ。ドライバーが運転中にスマホなどを使用した違反では、改正前は5万円以下の罰金だったのに対し、今回の改正では「6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金」という、懲役刑が新設されました。さらに運転中にスマホなどを使用していて交通事故などの危険に結びついた場合は、改正前の3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が、1年以下の懲役または30万円以下の罰金に引き上げられたのです。むむっ、なんて厳しい罰則!おまけにスマホなどをいじっていて交通の危険を感じさせ、交通事故で人を死傷させたとすると、免許仮停止になることもあるとか。これだけ厳しい現実を突きつけられたのだから、世の中から「ながらスマホ」をする人が一人もいなくなることを願うばかりです。
参考文献/警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用