自然災害の怖さを思い知らされた日。
今年9月6日未明、胆振地方中東部の厚真町、安平町、むかわ町などを震源に起こった、大きな地震。最大震度7という、北海道がかつて経験したことのない最大級の地震は、多方面にわたって甚大な被害をもたらしました。みなさんのところは大丈夫だったですか。命の危険とか、目立った被害はありませんでしたか。札幌でも地域によっては、道路が液状化を起こすなどして全壊や半壊、一部損壊した住宅が少なくありませんでした。その爪痕は今も生々しく残っています。日を追うにつれ、被害の全容がはっきりしてくると、そのダメージの大きさに改めて驚き、自然の恐ろしさをつくづく思い知らされます。また40名以上の尊い人命を失い、700名弱の負傷者がいたことについても、多くの人が心を痛めたことでしょう。今回の地震で住むところや職場をなくした方、長く避難生活を続けている方、いまだに続く余震に眠れない夜を過ごしている方も大勢いると思います。その方たちに心からお見舞いを申しあげるとともに、同じ道民として、一日も早い復興を願うばかりです。
全道で1000億円もの経済損失。
近年は全国各地で、自然の脅威がさまざまな形で猛威を振るっています。一昨年の熊本の地震もそうですが、今年は西日本豪雨や異常なほどの猛暑、次々に襲来する大型台風など、コントロールできない突発的な災害が押し寄せても、私たち人間にはなす術がありません。
また今回の地震では、大規模な山崩れや土砂のせいで、山林や農地がダメになり、多くの漁港施設が損壊しました。これら農林水産の一次産業で、400億円近い被害が発生しています。さらに北海道全域が停電になるという不測の事態のせいで、酪農家は生乳を生産できなくなり、漁業関係者は水揚げした魚介類と冷凍加工品を処分せざるを得ない状況を招きました。また私たちの生活も電気が完全にストップしたことで信号が止まり、それがもとで交通マヒが起こり、流通はストップ、通信網は遮断され、情報は入手できず、スーパーやガソリンスタンドは閉店したまま、あるいはわずかに開いていても長蛇の列ができるなど、暮らしのあらゆる場面で不便さともどかしさを体験しました。長く断水したご家庭や地域はもっと大変だったはずです。震災日から少し日数が経ち、徐々に以前の暮らしへと戻りつつありますが、それでも完全復旧にはまだ遠いようです。
今回の地震で北海道を訪れるはずだった観光客の足が遠のき、ホテルや旅館、飲食関係、観光施設、交通機関などを含めた観光産業の被害額は300億円にものぼるとか。さらに国道・市道・町道の修復費用の400億円を合わせると、少なく見積もって1000億円以上にふくらむそうです。そのリカバーと風評被害を拭い去るのが、私たち道民のこれからの課題ともいえます。
災害時に重宝するクルマの役割。
私たちは全国のどこかで大きな災害が起こり、それをテレビ、新聞、インターネットのニュースで目にするたびに、どこか他人事(ひとごと)のように感じていたかもしれません。人は誰しも「自分だけはそういう被害に遭わない」と思いたがるものだからです。それが実際に身の回りで起こってしまったときに初めて、実感するものです。そうならないためにも、ふだんからしっかり災害に備えることが大事ではないでしょうか。今回の数日間にわたる大停電では、ひと昔前までは考えられませんでしたが、スマホのバッテリー切れに苦慮した人が大勢いました。そのときに役立ったのがクルマの存在です。スマホの充電はもちろん、テレビが見られるカーナビやカーステレオなら、知りたい情報もすばやく入手できます。また普段から、クルマのトランクに必要最低限の防災グッズを積んでおけば、いざというときのリスクを回避・軽減できます。さらに寒い時期なら、クルマのヒーターが命を救ってくれることもあるでしょう。ただし、クルマのバッテリーを動かすにはガソリンが必要です。今回のように慌てて給油しに行っても、人であふれたガソリンスタンドで何時間も待つのは大変です。備えあればなんとやら。これからは万一災害が起きてもクルマを上手に活用できるよう、こまめに給油しておくことをオススメします。