そもそも砂箱は知っていますか?
みなさんは冬道を走っているときにガチガチの氷の路面で滑ってしまって、イヤになった経験はありませんか。タイヤは空回りしてどうにもならず、気持ちは焦るわ、後ろのクルマには急かされるわといった状況になったら、思わずクルマを乗り捨てたくなってしまうかもしれません。でもそんなときに役立ってくれるのが、道路に撒く砂の袋を収納している「砂箱」の存在です。「そんなことみんな知ってるさ」とおっしゃる人は別にして、「砂箱ってなんですか?甲子園の砂とか、鳥取砂丘あたりの砂を入れた箱のこと?」などとおっしゃるとぼけた人や、そもそも縁のなかった人のために、今回は砂箱について解説していきましょう。
滑って困るのは歩行者もクルマも同じこと
私たち北海道民は否応なく、半年近くも雪とともに過ごさなければならない厳しい環境に暮らしています。その雪がつくりだす凍結現象によって、とくに春先近くの道路はどこもつるつるのてかてか。歩行者ならその路面に足を取られ、すってんころりん、あ痛てて……と、転倒する人が後を絶ちません。運が悪ければ骨折することも。もしかしたら、あなたの身近にもいるかもしれませんね。とくに溶けては凍り、溶けては凍りを繰り返す2月下旬から3月下旬にかけては、急増するそうなので要注意!またそれらも確かに歩行者にはとっては困った悩みですが、日常的にクルマを使うドライバーにとっても共通の悩みです。ただし!タイヤがスリップして動けなくなったときに、道路に黒っぽい砂をザザッと撒けばアラ不思議。びっくりくらいの効果を発揮して、ス~と走れるようになる魔法のような砂(砂袋)を収納してあるのが、砂箱の存在なのです。
積極的に使ってほしい砂袋
砂箱はちょうど郵便ポストくらいの大きさのボックス形で、黄色や水色、薄緑、濃緑色をしていて、電柱などに縛りつけられています。おもに札幌市内や周辺の市町村が中心ですが、大きな横断歩道のあるところや坂道、バスやタクシーの乗降場所、地下鉄などの出入り口、クルマや人通りの多いところなどに設置してあるので、「ああ、あれね」と思い当たる人も多いことでしょう。ところで砂箱には2種類あります。ひとつは常設してある歩道用。もうひとつが冬期間(通常11月中旬~3月下旬まで)だけ設置した道路用です。砂箱を設置している札幌市建設局によれば、クルマがスリップして危ないなと思ったら誰でも使っていいそうで、むしろ積極的に使ってほしいと呼びかけています。砂袋には3kgと1.5kgがあり、中には便利なペットボトルに詰められたものもあります。国が管理している道路については基本的に国の予算で塩化ナトリウムを散布していますが、そのほかの道路まではなかなかカバーできないため、それの役割を部分的にサポートするのが、砂袋(砂箱)の役割なのです。ですからみなさんも、つるつる路面で危ないなあと思う箇所がもしあったら、砂箱から滑り止めの砂袋を取り出して積極的に利用してください。いつでも誰でも、手軽に使えるそうなので、思わぬ場所で滑って立ち往生してしまったら、進んで使うようにしましょう。
砂の正体は砂に非ず?
ところで先ほどから「砂」と呼んでいるものは、じつは石を2.5~5㎜くらいに細かく砕いた砕石なのです。こんな小さな砕石ですが、雪や氷にしっかり刺さると「フン!」と踏ん張りが効くから不思議ですね。この砂箱の設置期間中はボランティアの人たちが定期的に市内をパトロールし、少なくなっているところはその都度補充するそうです。
これが春になって雪が溶けた後、車道については大型の清掃車がきれいしてくれますが、歩道については札幌市を中心に、企業や市民が中心になって砂の清掃を行うとのこと。そんなたくさんの人たちに支えられている砂(砂箱)なので、もし使う機会があればじょうずに大切に活用してほしいと思います。